秋なりき飯田龍太と云ふ人は
ファックスの白き舌出し夏果てぬ
新涼や道問ふてまだ分からざる
耳鳴りも加へて虫の夜を寝落つ
人すでに九月の海の紺に倦む
今生は子を生すところ鳳仙花
『四季の歌』(荒木とよひさ作詞作曲)の中で四季は次のように示されています。春は心清き人、夏は心強き人、秋は心深き人、冬は心広き人であると。
しかし日本の四季はそれだけではありません。春はやさしき人、夏ははげしき人、冬は我慢強き人だと言えます。そこで秋は、すべてを納めとる人だと言ってよろしいでしょう。飯田龍太はその秋に相当する人でした。
龍太は言いました。「私が良い俳句だと思うのは、とても私ではできないなと思う句なのですよ」。そしてその言葉通りに龍太は句を選びました。それこそ「納めとる人」に相応しい言葉です。よって飯田龍太は秋の深みを持つ人だと言えるのです。
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