秋しぐれ他所語ばかりの軽井沢 

木曽越えの雲つぎつぎと蛇笏の忌 

金色の仏具仏壇秋簾 

職退きし身なれば古酒を酌むばかり 

傘立の傘の長短秋澄めり 

自死ありぬ秋の池面の真つ平 




ある仏教者の言葉に「はじめに心がある。心の中に世界がある。その世界の中に我々が住んでいる。」というのがあります。

「はじめの心」を「唯識」と考えてもよいでしょうが、兎に角その心を失くせば一切の存在が消えることになります。

毎朝のウォーキングの途次の阿舎で自死に出会いました。中年の男性が自らぶら下がることによって「はじめの心」を閉じてしまっていました。

しかし一つの心を閉じても世界を閉じたことにはなりません。自死はやはり逃避の一方法に過ぎないでしょう。

俳句は生きる上での万能とは申しませんが、俳句にいそしむことによって「はじめの心」を拡げる一助になると思っています。



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