沈黙のままの龍太に梅雨果てぬ
棒立ちの身へ七月の直射光
サングラス美女ならざるも美女なりぬ
涼風や武弁の系図広げ見る
閉ぢてまた開く扇に駿馬の絵
尾根細し罷り出でたる大ムカデ
母のことを少し…。貧しい農家生まれの母は大正期の農家の女性の例に洩れず、尋常小学校卒業後は製糸会社に働きに出て家へ仕送りをしていました。父とのお見合いの際のこと、実家の暗い灯火の下で相手が分らず父と一緒にやってきた父の兄が結婚相手だと思ったそうです。
結婚後は刃物製造業で独立した父を一生懸命に助けました。少しばかり生活に余裕が生じた頃です。自転車に乗れない母は当時流行りだしたスクーターなら漕がずに乗れるだろうと思い練習のため夜の小学校のグランドへ行きました。乗って動き出したのですが止め方が分からずドドドッと花壇へ突っ込んでしまいました。爾来自力で乗るものには手を出しませんでした。
その母が91歳で亡くなってから今年はもう8年目の夏となります。(青)
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