囲潜る親を見つつ潜れず軽鴨(かる)の子は日暮るるや蜘蛛の囲のまだ未完成蝉の死のあり魂を抱くかたちゆるやかに老いぬ日射しの秋めけば標高二百やや秋空に近づきぬ盆踊りをみなら笑みもこゑもなく 2017.09.29 15:05
鬱煩悩も芥も流し夏の川枯るること知らぬは哀し水中花噴水の伸びて縮んで子が跳ねて退屈で鬱になるかも金魚たち南吹く離島を今も獲り合ひぬ盆の月身にメス入れしこと三度(みたび) 2017.08.31 00:30
指皺の手の皺を殖やして冴え返る三月は庭の木々より生まれけり面影はいつも不意なり春ショール指間より水漏るるごと二月過ぐ指折つて二歳と示す春着の児春光や耳にショパンの流れ込む 2017.03.30 15:10