月光のいま山坂を攻めのぼる
秋闌けて峰八方に龍太の眼
真珠抱き貝の眠れる星月夜
大方は読まざる書籍そぞろ寒
句稿回す秋のしづかな刻が好き
贖罪のごと月光に身を晒す
飛騨高山の俳人日下部宵三氏より個人季刊俳誌「あかり」102号が届きました。自作品20句と共に、其号で以て終刊とのメッセージが記されてありました。平成3年4月創刊ですから足掛け25年に亘った個人誌です。
「俳句とは布衣の文芸。今様にいうなら、肩書を持たぬ庶民の詩」という飯田龍太先生の言葉があります。俳句は名や栄誉を求めることもなくこつこつと生き、せつせつと詠む人に相応しい文芸だと言えます。日下部肖三氏の態度は将にそれを具体的に示して来たものと言ってよろしいでしょう。
俳句は華やかな日本の中央にのみ存在する文芸ではありません。静かな鄙にも俳句は存在するのです。
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