潜る親を見つつ潜れず軽鴨(かる)の子は

日暮るるや蜘蛛の囲のまだ未完成


蝉の死のあり魂を抱くかたち

ゆるやかに老いぬ日射しの秋めけば

標高二百やや秋空に近づきぬ

盆踊りをみなら笑みもこゑもなく 




カドカワの月刊誌「俳句」9月号に「塀の中の詩人たち」として刑務所に服役中の人たちの俳句活動について書かせてもらいました。始めは彼らの作品をいくつか掲載した原稿を書いたのですが刑務所側から止められました。それで俳句作品を示さない俳句活動だけのリポートとなりました。言ってみれば「餡の無い饅頭」のようなもの、当事者としては大変不甲斐無い結果に終わりました。

日本語が存在する以上、俳句はどこにでも存在します。人が生活すればどこにでも俳句は生まれます。それを世に知らしめることは悪いことではありません。俳句に携わる者としてこの文芸の活力を後世に残せられるよう微力を尽くしてみたいと思っています。


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