年新た飯田龍太と云ふ巨人
白梅や龍太のあとに龍太なし
飯田龍太消えて幾年冴返る
梅の空見上げて飯田龍太の忌
二ン月や龍太記憶の底に住む
白梅忌と為すゆゑ龍太許されよ
本年は飯田龍太先生の十三回忌に当たる年です。初めて先生にお会いしたのは昭和54年5月、お住まいの境川村で開催された雲母甲府の大会に参加した折でした。
龍太先生のご講演の後、大会入賞作品が発表され、最後に大会特選句の発表がありました。ここで拙句が…と言えば物語が生まれるでしょうがそうは行きませんでした。
「人のすることをしてゐる花の昼」の作品が読み上げられました。すると前方の椅子に座っておられた一人の男性が静かに立ち上がり、演壇の脇におられた龍太先生に向っておもむろに一礼されました。品位のある行為が深く胸に焼付きました。後に京都の歯医者さんであることを知りましたが、俳句とは品格の文芸であることを教えられた大会となりました。(青)
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