身中に鬼棲む如し春の風邪


壺焼や縁濃きひと淡きひと


明らかに女はずるし四月馬鹿


山巓に城漂へり美濃は春


万物の中のひとつとして田螺


青春の誰彼遠し啄木忌



筆者の住む関市の市役所7階は『篠田桃紅美術空間』という美術館になっています。書家篠田桃紅の作品常設館です。

そこには彼女の次のような言葉が掲げられてあります。「美濃という古い岐阜の地名が好きだ。美しく、濃いという字が私にすぐ墨を連想させる」

また次のような言葉もあります。「人が書くというしぐさには、祈りに似たかたちがあるように思う。墨はそのための道具のように思われる」

俳句も含め芸術は、祈りに通じるところがあると思います。表現の形態に拘わらず人間としての可能性を展開させる、そこに価値が生じます。十七音の文字の中に、人として生きる輝きを示せることを願い、日々指を折っています。 (青)


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