春愁に加へ下血の哀しみは 

寝て覚めて絶食三日後の春日 

春夕焼電車地下へと潜りゆく 

御嶽の霞へ鳥の十羽落つ 

薫風や君よワルツを弾きたまへ 

伊吹より雨走りくる花のあと 




4月5日の夜突然の下血、憩室炎と診断されました。内視鏡による手当を受け2週間の入院の後無事退院しました。

平成22年に逝去した金子青銅も40代の折、下血で入院しました。20代での腹部手術が完全ではなかったようです。命危しと思われた際の彼の一句は「今生はちぎれちぎれや血止草」。胸に迫るものでした。

多量の輸血により彼は奇跡的に回復しました。元気になって生まれたのが「にんげんは元来強し土用の芽」。にやりとさせられる一句です。

しかしその折の輸血が後の肝炎へ繋がったのではと思われます。彼が65歳で亡くなる前に詠んだのは「いのち賭け生命を摑む膩蝉」でした。哀しい一句となりました。


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