老人のヒコヒコ歩く夏景色 

立秋や寄り来る山と去る山と 

うつむきて無言の拒絶ソーダ水 

ビルへ落つ閻魔の舌に似し西日 

墓洗ふ空の青さを引き寄せつ 

牛馬見ぬ歳月重ね狗尾草 




ある俳句講座の受講生の作品に次の一句がありました。

爺さんと婆さんばかり夏まつり

作者は岡山県の八十七歳の男性で、自身も寝たきりの生活とのこと。作品の背景には「集落四十六件、子供二人」と記されてありました。

俳句作品はユーモア性を含んだ佳句と言ってよろしいのですが、この一句の裏には大きな問題が隠れています。

現在、というより近代と言って良いでしょうが、日本は全てが都市集中の動きの中にあります。政治、経済、文化に限らず、あらゆる事象が都会へ都会へと流れて行きます。

俳句においても然り。しかし俳句は土着であって欲しい。俳句から地方性を除いたら何が残るのでしょうか。 


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