師の国の遠し雪嶺なほとほし 

救急車ばかり耳にし松過ぎぬ 

寒天へ欅愚直に枝を張り 

冬の町記憶は霧の底ひより 

田に降りて御身すこやか冬の鷺 

美濃といふ器大きく寒明くる 




毎年庭へ尉鶲がやって来るのですが今冬は一、二度見ただけでした。代りに山雀が十羽ほど賑やかにやって来ました。

そう言えば毎年来ていた鶫もここ二年間ほど見ていません。椋鳥を見かけるのも少なくなったように思います。

変らないのは鵯だけ。キーキーと鳴きながら屋根へ電線へと飛んでいきます。

寒ともなると「大寒の一戸も隠れなき故郷 龍太」の一句が脳内を駈け巡ります。大柄、繊細、所懐など、俳句に必要な一切を詰め込んだ句が頭の中を占領してしまいます。この句に押し潰されぬように作句して行かねばなりません。


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