ふるさとは訛りの坩堝夏つばき
海溝へ沈みつ浮きつ夏の潮
雨滴百・万・億・無量・青葉かな
君熱く龍太を語れ夏の嶺
南風は海図示さぬ孤島より
六月の雨こそ四面楚歌に似て
何事に於いても初学の頃の印象は多大な影響を与えます。筆者が『雲母』で俳句を学び始めたころの「作品集」巻頭句は毎月凄い作品ばかりでした。
「夏館甲冑は人肉を欲り 燕子」
「青芒酸鼻ちらりと古刹の水 勲」
「夜の百日紅陥落か開眼か 青銅」
「修羅を経し母のうしろの蠅叩き 八州央」
「豹よりも虎美しき弥生かな 史現」
「冬の峠夕闇のほか登り来ず 葉」
「六月や京へ行かんと水勢ふ 映水」
「雲の辺へ子を産みにゆく紅鮭 浩平」
「雪のこる峰忍従か奔放か 敏子」
などなど…。煌びやかで静謐で勇壮で緻密な作品が毎月毎月、目の前に現れました。
爾後、これらに肩を並べられる作品をというのが筆者の目標となりました。 (青)
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